残業代請求

残業代請求

事例

 豊島区の不動産会社の社長です。営業課長の部下へのセクハラがあまりにひどいので、やむをえずクビにしたところ、先日未払残業代として300万円を支払えとの弁護士名義の通知が突然送られてきました。
 当社は管理職には残業代を支払わない決まりになっていますし、営業課長には残業代の代わりに営業手当と役職手当をつける旨の説明もしています。
 セクハラで迷惑をかけておきながら、全く納得のいかない請求ですが、それでも残業代を支払わなければいけないのでしょうか。

 

1.残業代の請求

 労働基準法は最長労働時間として1日8時間、1週40時間労働の原則を定め、これを法定労働時間といいます。
 この法定労働時間を超えて従業員を勤務させた場合、会社は通常賃金の1.25倍の割増賃金、いわゆる残業代を支払う義務を負います。

 

2.管理職と残業代

 労働基準法は割増賃金の支払について例外を設けており、「監督又は管理の地位にある者」については、午後10時から5時の間の深夜労働を除き、残業代を支払う必要はありません。
 ただし、この「監督管理者」は管理職とは意味が異なり、職務内容、責任と権限、勤務態様等を考慮の上、手当等で相当の待遇がなされ、出退勤時間がある程度自由で、事業経営の重要な事項に関与するなど実質的に相当高い位置にある者に限定されます。

 

3.営業手当と残業代

 労働基準法上、事業所外で労働する場合で労働時間を算定しがたい場合は、「みなし労働時間制」として実際の労働時間によらず、所定労働時間勤務したものとし、残業代を支払わない扱いとすることも可能です。
 しかし、これは使用者による時間管理が困難な場合に限られ、営業等の外勤で営業手当を支払っているからといって、「みなし労働時間制」の適用により、残業代を支払わなくても良いということには必ずしもなりません。

 

4.アドバイス

 営業管理職で営業手当と役職手当を支払っているから残業代を支払わない旨の約束を営業課長としていても、それが労働基準法上有効とみなされるためには前述の多数の法的問題をクリアする必要があります。
 営業課長の業務内容や業務の態様、約束の取り決め方等を詳細にお聞きした上で、法的に少しでも有利な主張を組み立てていくことが必要不可欠です。
 300万円という請求額も確かな法的根拠に基づく金額かの精査が必要ですし、対抗手段としてセクハラによる会社の損害をしっかりと主張立証していくことも重要です。
 営業課長の信義に反する請求には到底納得いかないでしょうし、そのお気持ちもふまえて不当な請求を排斥すべく全力を尽くしますので、当所弁護士への早目のご相談をおすすめします。



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