売上金横領
事例
都内で洋服販売店を数店経営している中小企業の社長です。
ある店舗で服の販売数と売上金が合わないことに先日気づき、信頼していた店長を問い詰めたところ、帳簿をごまかして店の売上金を毎月数十万円、1年以上に渡り使い込んでいたことを認めました。横領した金はギャンブルや遊興費に全て使ってしまったようで、被害額は約500万円に上ります。
店長は20代後半で、めぼしい財産もないようです。恩を仇で返した店長を許せませんし、当社としては金額的にもかなりのダメージですが、どのように対処したら良いでしょうか。
1.刑事告訴
「自己の占有する他人の物」を横領した者は、横領罪に該当します。法定刑は懲役5年以下ですが、仕事に関して預かっていたものを横領した場合は、業務上横領罪として罪が重くなり、10年以下の懲役です。
横領罪は、公訴の提起に告訴を要する親告罪ではありませんが、警察に実際に動いて捜査してもらうためには、被害者が被害内容を警察に伝えて処罰を求める刑事告訴の手続が必要です。
2.損害賠償請求
売上金の横領行為は刑事上の業務上横領罪に該当するとともに、民事上の不法行為にもあたります。
したがって、被害会社は横領した者に民事訴訟を提起し、横領された金銭相当額の損害賠償を求めることが可能です。
3.懲戒解雇
売上金の横領は、通常就業規則の懲戒事由に該当します。
被害会社としては横領者を懲戒解雇した上で、30日分の予告手当や退職金を不支給とする措置を採ることも可能ですが、労働基準監督署の除外認定等、法律上要求される適正な手続をとる必要があります。
4.対処法
店長にきちんとした刑事罰を受けさせたい場合、告訴案件を多数抱える警察はこのような民事がらみの事案にはおよび腰で、告訴を受理させること自体がなかなか難しいのが実情です。法的専門的な主張立証を一つ一つ積み重ねる等、弁護士からの働きかけにより警察を動かし、極力早期の告訴受理、検察への送致と裁判による処罰を求めていくことが大切です。
横領金の回収を優先させたい場合ですが、店長には資力がないため、両親や親族からの回収も視野に入れた高度な交渉技術が必要で、刑事告訴とからめた粘り強い交渉が必要です。
また、このように悪質な労働者でも労働法の手厚い保護を受けており、懲戒解雇には労働基準監督署の除外認定等適正な法的手続を取る必要があります。
売上金の横領には、想像以上に難しい法的問題が含まれており、所長弁護士は検事経験もありますので、金額の大小によらずできるだけ初期の段階でのご相談をおすすめします。
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